ふたかみを抱く





昔、フタカミ山と呼ばれた二上山。

雄岳と雌岳をつなぐ(馬の背)に立つと東には奈良盆地全域の広がりと、護る青垣の連なる風景。
西には大阪湾までの町並みが急速な高低さ持ち広がり、神戸や明石あたりまでの六甲山系と湾岸の風景。

ある夕暮れに見た空があまりに印象的だったので・・・

すべてを抱く
フタカミ諸とも抱かれる



2010年6月




一秒一秒ごとに渦巻きながら目まぐるしく変化する空の色


凄惨という言葉さえ温い激動の時代

謂れの無い謀反の罪に陥れらた「大津の皇子」が葬られている二上山

無念の死罪の際に磐余池(いわれのいけ)で詠まれた辞世の句

「ももづたふ磐余池に鳴く鴨を今日のみ見てや雲隠りなむ」



陥れた側の心


陥れられた側の心



その想念や禍々しき諸々を二上山の姿に重ね思いながら
淡々と時は過ぎたかに見えて
善も悪も無く


フタカミ諸とも抱かれる



参考文献
・Wikipedia「磐余池」最終更新 2018/10/8 14:14
・Wikipedia「大津皇子」最終更新 2020/11/21 1:08








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