背降りのあとの雫の下で





ひさしぶりだね

笑えるいたずらならきっと大丈夫だよ

1000年待つのもご苦労だね


今度は誰になってあそぼうか

ねぇ  忠信


山の萩は 枝垂れないんだって
知ってた?

化けても尻尾まる見えなのが妙に愛しいよ


白い人は  どこにいるの?



2013年8月




背降りとは夏に吉野から大台ヶ原山を中心に「ザァァァァァ!!」と激しく降る大雨の事です。

その雨が上がった後佇み、物思いに耽っているかのような狐忠信。
時々描くんです、きっと忠信さんが好きなんですね私。

狐忠信と刻まれた大きな石碑が祀られておりますのは吉野山の中心となっている金峯山寺
義経さんが兄である頼朝さんに認めてもらいたかったために懸命に戦い、見事源平合戦に勝利しました。
にもかかわらず頼朝さんに討伐されてしまうという歴史があります。

その義経さんに連れられて京都から吉野に落ち延びてきた静御前、その静御前についてきた狐が忠信さんなのです。

そして静御前を守っているかのような狐が、昭和の初期から中期ぐらいにかけて実際に色んな姿をしながら吉野山に出没していたらしいのです。

とある書によると、吉野山の銅の門の近くで誰かに化けてイタズラをしていたといいます。
義経さんの頃からずっと生きている狐なんですね。



初めて金峯山寺の石碑の前に立った時、強く深く、いろんな想像を掻き立てる何かが流れ込んできたのです。
吉野という場所が持つ不思議なエネルギーの影響、各時代、歴史上いろんな人物たちが濃厚に繰り広げてきたストーリー。

その断片は能になったり歌舞伎になったり、例えば演目「義経千本桜」にも登場します。



(第26話)【吉野という土地の不思議と狐忠信】ELCAFLORAエルフロMitsukoのトキジク日記








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